■□ふうてんの絵描き
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 私は、見方によっては「ふうてんの寅」であるかもしれない。風のままに流れ、旅してきた。性格もそれに近い、と思う。



 私の場合、画家という職業柄なのだろうか、世間一般の幸福や価値観、常識とは少しずれた生き方をしてきた。そんな私を周りの皆さんは、別の見方をしてくれているのかもしれないが、寛大に、多少のはみ出しを温かい目でみてもらってもいたと思う。



 そんな縁というわけではないが、「さくらさん」こと倍賞千恵子さんとは長いお付き合いである。もしかしたら彼女も私に寅さんを感じているのかもしれない。倍賞さんは大スターであるにもかかわらず、回りに気を遣い、謙虚な人である。昨年十二月に来道されたときは、旭川のホテルのクリスマス・ディナーショーに席を二つ用意してくれ、お招きをいただいた。



 何年か前の話になるが、賠償さんが足の骨を折って山梨県身延町で静養をしていたことがあった。日蓮宗の信者ならご存知と思う。身延山にはものすごく急な石段がある。私は、禅宗であるが仏教に帰依する身。日蓮上人七百回忌のとき知人に頼まれ曼荼羅(まんだら)を描いたことがあり、そんなことでこの身延山の石段を覚えているのだ。



 倍賞さんは骨折が癒え、初めて許された外出でその石段に挑戦した。そして見事登りきったのである。さすが大女優の根性だと感心した。頂点に立った人ならでは、の話である。



 まだだれにも話したことはないが、私は絵かきとして映画を作ってみたいと思うことがある。機会があったら北海道を題材にした自分の世界を映像で表現出来たら、と思う。その映画に倍賞さんや知り合いの俳優さんたちが出演したら。寅さんならぬふうてん絵かきの夢といえばそれまでだが。