〜 海のある風景T 〜


港の朝
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ひんやりした冷気と、潮の香り。
白砂青松とはいささか遠い苫小牧港であっても、
その朝のすがすがしさは格別のものがある。


私は余市生まれということもあってか、
近くに水がないとどうも落ち着かない。


いろいろの海を見、街々を歩いて、
今は苫小牧で制作に打ち込んでいるが、
時折真っ白なキャンパスに向かうと
二十数年前、活気に満ちた小樽港で絵をいていた頃が
なぜか思い出される。


私を放浪の画家という人がいる。
酒に飲まれた一時期もあった。


流転の人生や移りゆく現代を静かに考えながら、
港の岩壁にスケッチブックを広げる。
朝もやをついて出港する船、
汽笛を響かせながら入ってくる船。


明るい静寂さの中に苫小牧港の持つエネルギーが感じられ、
私の創造への意欲をかきたてる。




1977年 北海道新聞「私の好きな朝」より




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